さんやほうができるまで
ここでは「さんやほう」を例にしてお酒造りの流れをご紹介します。
1.精米
無農薬の「みのにしき」を60%まで小さく削ります。
4割は「ぬか」で、酒造りには使いません。
米の外側には雑味を出す成分があるからです。
「ぬか」はあられやみりん等、その他の食品の材料となります。
2.浸漬
ごはんを炊く前に水に漬けますが、酒のお米を蒸す前にも水に漬けます。
3.蒸米
みのにしきを蒸します。
今では乾燥蒸気で蒸します。
4.製麹(せいぎく)
麹(こうじ)菌というカビを使い「麹」を作ります。
30℃の部屋で44時間ほどかかります。
生き物相手なので、夜の作業もあります。
日本酒は、この作業で手抜きをするといいモノができませんので注意です。
5. 酒母(しゅぼ)仕込み
温度を20℃くらいにまずは小さく仕込みます。
仕込みというのは麹、蒸し米、水を併せてタンクに入れることを言います。
酒母には、それに加えて、酵母という、眼に見えない微生物を入れます。
「酒母」というのは酒のモトです。
目的は酵母の培養です。
およそ2週間で甘酸っぱいにごり酒が出来ます。
6.本仕込
いっぺんに大量に仕込むと酵母菌が参ってしまいます。
よって仕込みは3回に分け、4日間かかって仕込みます。
仕込みの温度はそれぞれ12℃、9℃、8℃が理想です。
ただし2日目だけは「踊り」と言って、仕込みはお休みです。
酵母にとっては、例えるなら、子供が学校へ入学して最初のゴールデンウィーク休みみたいなもの。
温かい環境(温度)でのんびり遊ばせて数を増やさせます。
1日目、3日目、4日目とおよそ倍々の量で仕込み、最終的に828KGのみのにしきがタンクに入ります。
7.発酵
酵母が麹の持つ酵素で蒸し米を糖分に変えます。
その糖分を、こんどは酵母が食べて、アルコールと二酸化炭素を出します。
タンクの中では、このことが追っかけっこで繰り広げられています。
この状態の白くにごった液体を「もろみ」と言います。
温度は自分の力で15度以上に上がりますが、それ以上には上がらないように管理します(ワインや焼酎、ウイスキーでは30℃位まで上がります)。
さんやほうでは、およそ20日間で18%くらいのアルコールが得られます。
8.搾り
発酵が終わったら、搾りです。
もろみを搾り機に入れると清酒と酒かすに分かれて出てきます。
搾ったばかりのお酒はまだ炭酸ガスを含んでおり、少しピリッとした味、感触を楽しめます。
この状態でびん詰めすると「生原酒」というお酒となります。
およそ1200Lの清酒が搾れます。
9.火入れ
生酒で出荷した以外のさんやほうは、雑菌を避けるため「火入れ(熱処理殺菌)」を行います。
10.貯蔵
蔵で静かに貯蔵し、熟成が進むのを待ちます。
11.ろ過
ろ過をして、オリや、香りのクセを整えます
11.びん詰め
びん詰めしてラベルを貼り、いよいよ出荷です。
びん詰めの際にはもう一度「火入れ(殺菌)」を行います。